羽音の思惑(かべのなかから)/ホロウ・シカエルボク
みんな仕掛け花火のそれに聞こえる
思い出したように鳴き始めるツクツクボウシ
巨大なアンテナの根元でピッチが怪しくなる
つま先になにかがぶつかって、おれはそれを石だと思ったのだけれど
拾い上げてみるとなにかの肋骨だった、草を描き分けてみれば
それがなんなのかははっきりしただろうけど…
入道雲はとろけて、先週ほどもはっきりとはしない
死んだ路の上の死んだなにか、それを見届けるのはきっとおれじゃない
しばらく歩くとトンネルが見えてくる、草むらのなかに突然
そこそこ長いそれはたくさんの暗闇をくわえこんでいる
差し込む光が揺れているので、水が溜まっているのだと判る
ポケットから小さなマ
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