スタンドアローン/ホロウ・シカエルボク
 
考えているかのように傾いていた


巨大な木材と針金で入口を塞がれたショッピングセンターの廃墟は
壁の煉瓦が少しずつ崩落し始めていた
まだ誰をも無条件に愛することが出来た幼いころに
その入口は天国への扉のようだった


年代物のコートをまとった
安物ワイン漬けの年代物の男の浮浪者が睨み付ける裏通り
その眼光は怒りにも悲しみにも見え
そしてそれ以上何も語ろうとはしなかった


パトロール・カーがけたたましく喚きながらどこかへ疾走していく
真剣な表情でハンドルを握る警官は
後手に回らざるを得ない正義についてどうしようもなくいらだっているように見えた
すでに流れた血を
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