思考は瓦礫の中で/ホロウ・シカエルボク
 
君臨している、公衆トイレで理由の判らない嘔吐をする、近頃改装されたその様相は美しいが煤けている、だってそうなんだ、そこは汚物が扱われるところだから、どんな洗剤を使っても、どんなに水を流してもそういったものは拭えることはない、パーソナリティが人間を支配するみたいにそれは煤けている、手洗いの蛇口から流れる水は数秒間は熱湯のように酷い、てめえの陰茎を撫でた指を洗うのも一苦労だ、濡れた石の匂い、なぜかそれは戦争を連想させる、近頃の連中は殊更に殺される可能性についてばかり話をする、殺す可能性については微塵も考えることはない、そんなやつらに戦争のことなんて一生分からない、誤解を恐れずに言えば、それは人生を理解
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