吉原幸子(その「病」について)/ベンジャミン
しろその逆で、彼女自身もまた純粋さを求める人だったと思う。しかし彼女の詩を読むと、僕自身が純粋さを完全に失っていないことに気づくのだ。そしてそれが、あたかも「病」であるかのように僕を蝕んでいることにも気づいてしまう。
純粋さが人を蝕むなんておかしなことを言うものだと、思う人もいるかもしれない。しかし現実に、純粋であることは生きる上で求められていないものの一つであると僕は考えている。むしろ純粋でないことの方が、生きる上で求められているのだと、つまりあらゆるものを身につけ、経験を積み器用になることが、上手に生きるためには求められている。
しかし僕は、理屈でそれをわかっていても、そのように生きること
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