丘の上のふたり/ペユ
なる人イルワケナイジャナイカ!
悪意だけが世界に満ちているのだと 悲しんでしまうのに充分な量の言葉を
何度も何度も繰り返し まるでシリアの戦地で歯車が回り続けるように
僕もあなたも 吐かれ続けてきた
律儀な僕たちは その言葉をひとつひとつ丁寧に受け取ってきた
もう大丈夫だよ
おそろしかった日々は これでおしまいだ
それは雪のように溶けていくんだ
悲しみのように溶けていくんだ アイスクリームのように
血は
心が吹き出し続けてきた その血は
融解していく ふたりのるつぼの中でゆっくりと
誰もいない場所で 青空の下に咲く向日葵を見つけたときのよう
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)