丘の上のふたり/ペユ
 
なる人イルワケナイジャナイカ!
 悪意だけが世界に満ちているのだと 悲しんでしまうのに充分な量の言葉を
 何度も何度も繰り返し まるでシリアの戦地で歯車が回り続けるように
 僕もあなたも 吐かれ続けてきた 
 律儀な僕たちは その言葉をひとつひとつ丁寧に受け取ってきた
 
 もう大丈夫だよ
 おそろしかった日々は これでおしまいだ
 それは雪のように溶けていくんだ
 悲しみのように溶けていくんだ アイスクリームのように
 血は 
 心が吹き出し続けてきた その血は
 融解していく ふたりのるつぼの中でゆっくりと
 誰もいない場所で 青空の下に咲く向日葵を見つけたときのよう
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