日々/飯沼ふるい
 
あるいは奥底に
ぼんやり浮かぶ

湯船でうるかせども
剥がれはせず
時間とともに乾けども
剥がれはせず
積み重なる瘡蓋が
一枚、二枚、
なるほど
面の皮の厚くなるわけで
しかしうまく笑えないから
なんとなく
出口をふさがれてしまった感じがする

 去るもののために開け放てば
 笑顔のさみしい老人のような空虚が
 埃を食みにやってきて
 とどまるもののために閉めきれば
 蛆のように湧き出てくる紛い物らが
 盆踊りに狂いだす

 開け閉めする
 そのたびに
 錆びた蝶番の軋む音が
 ひとつの塊として具現化し
 力尽きた花弁のように
 落ちていく
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