日々/飯沼ふるい
線の県道を走り過ぎていく
車の音に紛れて
大太鼓の音が響く
夜の町の底から
湯気でやわらいだ耳朶の奥へ
染みていく
駄賃をえさに
集会所に集められた子らが
例大祭のために稽古をしているのだ
と
いつかのぼくが顔を覗かせ
小太鼓はふたつ
大太鼓はひとつだけ
練習用の古タイヤはたくさん
すべてぼくには遠のいた
いつか
タイヤを打てば ぼこぼこ
それもまた
いつか
思い出とか人生とか
そういうやつ
重なり、交わり、すれ違い、知ることもなかった
体温や匂いの遍歴が
無思想な裸体から切り離され
衰えた視力の先 あ
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