愛、苦しい。/薔薇の人
背徳を飛び越えて私は決心を深める。
狙うのは、そう、貴方との蜜月を過ごした夜。
愛狂おしい夜はとても喉が乾いてしまうから
貴方の果汁が欲しくなったの。
仕方が、なかったのよ。
だって愛しているんだもの。
口元から滴らせながら貪り、また飲み込む。
甘美って、こういうことなのでしょう。
甘くてとろけて、夢中になって髄まで吸い尽くす。
あぁ、美味しい。愛してる。もっと、もっと。
そうして。
幸福なディナータイムの終焉には、
鳴り響くサイレンと重く冷たい永久の手枷。
何も怖くないわ、少しも後悔なんてしないわ。
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