どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
 
く知らない、そんな話をしながら二人は、沙織が居る部屋の右隣の部屋へと入って行った。見えないのなら気を使うことはないわね、と沙織は彼らのあとをついて部屋に入って行った。そこが自分の部屋と同じ味気ないところであることはもう知っていた。二人の男は適当に荒れた畳に腰を下ろして、少しだけ年上らしい金髪の男が若い方の男に煙草のようなものを手渡した。これ、アレかい、と若い男が聞いて、アレだよ、と金髪が笑いながら言った。今流行ってるやつだよ、すごくよく効くよ、と言って、火をつけてやるから準備しろ、と促した。若い男は少し迷っていたが、まあいいかという風に突然力を抜いて、それを口にくわえ、年上の方に火をつけてもらった
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