どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
 
うことはもっともな気がした。この男が自分を苦しめているものを解決出来るとは思えないが、なにかしらヒントをくれるかもしれない、そんな気がした。そうだな、と陽平はもごもごと言った。このままここに居てもしょうがないし。
 「付き合うよ。」
 男はようし、と笑って立ち上がった。
 「ついてきなよ。」


 沙織は自分の死体と向き合いながら、友達と居るみたいだと思った。たぶん、一番そりが合わない友達と。時々ぶっきらぼうに話しかけたりした。頬をはたく真似をしてみたりした。馬鹿馬鹿しいことだけどそれは彼女の気持ちを楽しくさせた。もしかしたら自分が一番やりたかったのはこういうことかもしれない、などと、
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