どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
 
は自分の死体を見下ろしていた。それから窓辺に行って、そこから見える景色がほとんど自分が考えていたとおりのものであることに嬉しくなった。外に出てみようかと思ったが、すでにガラスの失われたその窓から外に出ることは出来ないようだった。彼女はいろいろ試してみた。どうやらいまのところ、自由に動けるのはこの建物の中だけのようだった。さて、と彼女は考えた。なにかをするべきだろうか?例えば、なにが起こったのかを調べたり…?でもどうしてもそんな気分になれなかった。なんたって彼女は、ここに至るまでの現実的なすべてをまるで思い出すことが出来ないのだから。いいや、と彼女は結論して自分の死体の前に胡坐をかいた。自分がやるべ
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