どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
ンダナを巻き、サイリウムを手に盛り上がっていた。まだ始まっても居ないのにすでにコールをしている者も居た。陽平は彼らとは出来る限りの距離を取って、最後尾の列に腰を下ろした。別に見たいわけじゃないのだ、これ以上何をすることも思いつかなくて、そこにそうしているだけなのだから。やがて、ショーは始まった。ステージに現れた少女らは宇宙服をワンピースに改造したみたいなおかしなデザインのドレスを着て、あちらこちらに笑顔を振りまきながら跳ね回り、明らかにボリュームを上げ過ぎているマイクに向かって、元気いっぱいの下手糞な歌声を張り上げた。彼女らの歌い回し、ダンス、笑顔、仕草すべてに、マニュアルがあるみたいだった。嘘ば
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