どこに居るの、沙織。/ホロウ・シカエルボク
、そんなことがあればまた、事態は変わってくるかもしれないけれど。
飲み干したのはおそらくアイスコーヒーだったはず。陽平は不意に腹痛を覚えた。店を出て手洗いを探す。店の近くの個室はすべて埋まっていた。彼は開いているところを探してモールの一番端まで歩き、そこでようやく個室を使うことが出来た。個室を出たところはイベントスペースになっていて、名前も知らないアイドルグループがもうすぐそこで歌うことになっていた。観覧は自由となっていた。最前列で群れているのは彼女らのファンなのだろう、若い女も居ることは居たが、ほとんどが中年あたりの独り者の男という印象だった。年甲斐もなくメンバーの名前の入ったバンダ
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