誰も思い出さないその雨のことを/ホロウ・シカエルボク
ミネラル・ウォーターのボトルが隠しているやましさだということなのさ―爪先でフォー・ビートを刻みながら髭を剃る、いつか、この剃刀で顔中切り刻むことを夢想しながら…いや、それは、憧れのようなものだ、本当にそうするなんて言ってない、死を覚悟しない人間は髭を剃るとき以外にそんなものを手にすることはない―引っかかりのない肌は居心地が悪い、でもそれは拒むほどの状態ではない、少し時間が経てば忘れてしまうようなことだ…髪を乾かして表通りへ出てみると、粋がった小僧がこれ見よがしに唾を吐いていた、「反逆者」を自称する小蝿がこの街には多過ぎる、アイスクリーム屋の側を通り過ぎたとき、やんでいた雨がまた激しく降り始める、ま
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