風の化石 2P/10P/翼がはえた猫
どこからが海で
どこからが空か
わからないのだから
空が
海となって
魚達が飛び出していくと
銀色の鱗はたちまちに白い羽毛となって
朝霧を掻き消していく
そうして
海は海へと
空は空へと
沈殿していくのだ
【鐘を鳴らすわだつみ】
別れてしまった半身を求めて
わだつみは腕を伸ばす
届くはずのない空に
ここにいるよと伝えたくて
わだつみはないた
届かぬ腕は契りを交わすことなく
千切れて消えて
その度に
飛沫の涙が浜を濡らす
何度腕を伸ばして
何度涙
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