素手/藤鈴呼
何処まで 走りたいですか と 問いかけて
どこまでも と 応える
最初は 同じなのだけれども
頷く頬の角度から
冷たい影が 伸びているようで
ずっと 見つめていたら
風邪を引いた
ウイルスなんて 目に見えないんだから 大丈夫だって
水で薄めた洗剤を ぽつぽつと 押す
容器の中で
それらは 固まり尽くしている
割り箸で 突くと
今迄 仲良かった 粒ぞろいの洗剤たちが
イヤイヤと 首を振りながら
ゆっくりと 離れて行くのです
いや 違うでしょう
もっと こう
固形なんだから 例えば そう
スライムみたいな・・・
言いかけて 止
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