無駄な境界線を引きたがるインサイドとアウトサイド/ホロウ・シカエルボク
れ、消化され、吸収されて、破棄される、体内を巡りながら次第に形を変えていく、自分の身体にしたがって形を変えていくのだ、その基準は自分自身ですら理解出来はしない、ドラッグストアで買える間に合わせの薬みたいにあっという間に効能を発揮したりしない、ただ受け取って、あとは忘れておけばいい、そしてそれがたとえば、鍵の壊れた抽斗の中なんかに迷い込んでいたとしても本当はなんの問題もない、一度触れたものであればそれは必ず体内で息づいている、数年前、目覚める直前に見た夢のことを突然思い出すみたいに、ある日現れることがあるかもしれない―路面電車が通過して安普請の住処は僅かに振動する、そんなことにももうとっくに馴れてし
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