無駄な境界線を引きたがるインサイドとアウトサイド/ホロウ・シカエルボク
てしまった、立ち上がり、台所で水道水を飲む、ぶるっと震えてしまうほど地中の管の中でそいつは冷え切っている、それは俺の消化器官のすべてを塗り潰す、「なにもかもを容易く鵜呑みにするんじゃないぞ」ヘヴィ・メタルはそんな意味合いの歌を気のふれた女のような声で叫んでいる、ニュースを見ようと思ってテレビを揺すり起こすと昨日のニュースをやっていた、ストーンズの歌みたいにさ…日本のいたるところで鬼が追い出されたって話していた、くだらないバラエティーが始まってもう一度テレビを眠らせた、飲み干した水道水は胃袋の底を洗っている、椅子に身体を預けて目を閉じながら、俺はまだ逃げていない鬼が潜んでいる場所をひとつ知っていた、まどろみの中でそいつに話しかける、なぁ、そろそろひと騒ぎしないか…そいつはにやりと笑ってなにごとか答えたが、それをきちんと聞き返せるほどにもう俺は目を覚ましては居なかった。
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