グラン・ギニョール(ただし観客が皆無の)/ホロウ・シカエルボク
も入り込んでくる図々しさはまるで気体のようだ、そして、こうしておれを封じているさまはまるで個体のようじゃないか?どうして死んでいない…おれはもうとっくに呼吸を奪われていて、身体中の隙間を塞がれている、どうして死んでいない?思考が生きていればそれは死ではない、こうしてここにおれの意思は存在しているではないか―?おれはそもそもどこに居たのだ、と、きみは考える、きみには場所の記憶がない、そこに巻き込まれるまでどこでなにをしていたのか、まるで思い出すことが出来なかった、瞬間に輪廻転生を果たしたかのようにそれまでのすべてがゼロになっていた、きみが知っているのはただ、きみがきみ自身であるということ以外に他なか
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