グラン・ギニョール(ただし観客が皆無の)/ホロウ・シカエルボク
間にも、それは入り込んでくる、もう暗闇しか見ることは出来ない、呼吸が奪われ、視覚が奪われ、聴覚が奪われる、鼓膜が空気の重みに負けて裂ける音が、きみが最後に聞いた音だった、いまのきみは言わば封じられたただの魂だった、どこにも動けなかったし、そんな空間をなかったことにするような力も持ち合わせてはいなかった、ただ封じ込められてそこに漂っているだけだった、それは確かに漂っていると言ってよかった、決して完全に固められては居ないという意味では…これはどんなものなんだ、ぼんやりとした意識の集合体の中で、きみはそう考える、液体のようでもあり、個体のようでもある、ずしりとした質感は確かに液体のようだし、どこにでも入
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