創作童話詩/水菜
るからでは無い筈だった
白い湯気に木綿が浸って
裸足の足が木目を滑り、ぽつねんと転がっている白足袋を赤い爪先で手繰って
身体が、凍ってしまえば良いと
ぼんやり剥き出しの柱に傾けて後れ毛が首元に掛かる
赤い月夜は白い白粉に縁取られて恥ずかしそうね
真面目な黒髪後ろ手で編みこんで
落とし込むのは私の心で
消えていくのは濁った魂で
ふわふわ漂うのは、ちかちかひかるイルミネーション
水滴がつめたい氷に変わっていくように
握った手は、この手のひらの半分の大きさで
雪のように白い魂
安っぽいイルミネーションのひかり
無音の世界でしんしんと降り積もる雪は
閉じようと働きかけ
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