(野 かぜ)/「ま」の字
 


びゅうと翔ぶやら 鳥の眼が
みえぬ風神(ふうじん) 草分けの路
わたしパ 死(す)ンデ 子供で 見た日か
自転車奔(はし)り
老いで 見た陽か 廃堤ハ 豊(とよ)シ 裕(ゆた)ケシ 葦原の
魂(たま)の 鎮めぞ 飛ぶトりの
眼球(たま)ノ 澄みつつ 淋(さみ)し さむしき

鼓(つつみ) 模すくち 人のくち
弔いの声 鉦のこえ
雷神亡いたヮ ヤレほほぅ
夕陽ヒかるヮ ワレ ほホぅ
駆ける子泣く子 鉦叩クひと
往くな切なヤ 胸たたく
穂波の間から 行く列 の
とおき ちいさキ 姿(かげ)バかり
いつ
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