いつか見た映画みたいに/ホロウ・シカエルボク
て再建されることとなった。ヨシオが薬で眠っている間にすべての決着がついていた。ヨシオには頼りになる親も親戚も居なかったが、国選弁護人が上手くやってくれた―もちろんヨシオのためではなかったが。ヨシオが正気に戻るには半年ほどかかった。ヨシオの右手の人差し指はもとには戻らなかった。ヨシオが自ら?み砕いてしまったせいだった。社長はヨシオに特別ボーナスを払い続ける結果となった。ヨシオには自宅で出来る仕事が与えられた。簡単な文章をパソコンで打ち込む仕事だ。「町内会のお知らせ」とかそういうちょっとしたチラシのようなものだ。そんな仕事でもいくらかの金にはなった。時々はなくなった人差し指にイラつきもしたが、数か月も
[次のページ]
戻る 編 削 Point(2)