いつか見た映画みたいに/ホロウ・シカエルボク
 
無理をしていると感じていたので、大丈夫なのかと気遣った。大丈夫だよ、とヨシオは笑って言ったが、それが嘘であることは二人とも充分過ぎるほど判っていた。そして、ヨシオの辛い日々が始まった。忙し過ぎて昼飯を抜かなければならない日もあった。十日を過ぎてからは家に帰ってもろくに座ることも出来ず、風呂に入って食事をしたらすぐに眠ってしまった。夢すら見ない眠りは一瞬のうちにヨシオを朝に連れて行った。ふらつきながら仕事に出かけるヨシオを見送りながら、キヨミは不安で仕方がなかった。だけど、ヨシオの仕事場の状態は普段から聞いていたので、ヨシオが持ちこたえることを願うばかりだった。何か元気の出るものを、とあれこれ考えて
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