灯台/いぬぐす
 
り着けられると勘違いしていた
女は紙で泥船を補強をすることにした
紙が足りなくなると調達しに船から降りる決意すらした

しかし女は紙を調達することはできなかった
それでもふたりはあきらめなかった

男はついに帆を張った
風が吹いた
泥船が波を割って進もうとしたそのとき
女の補強した紙が濡れて破けた
一気に崩れて沈んだ泥船

男はもう無理だと女から心が離れた
それを察知した女ももう無理だと思った

岸部にふたりならんで座りながら海を眺めた
同じ夢を見ていると勘違いしていた女
泥船を棚上げして紙の補強を責める男
ふたりを灯台の明かりが照らしていた

潮風が頬を
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