石田瑞穂詩集『耳の笹舟』について/葉leaf
っていない
銀色のまじる無精髭
防音ガラスの窓の外を
くるくる舞う枯葉
秋のセントラルパークの宝石
ルリビタキの羽音の泡
倒木のくず木にまぎれて
ひげをゆらすカミキリムシ
(「本の音」)
視覚や聴覚を触覚の延長として捉えることは可能であり、実際視覚は光に触れており、聴覚は音に触れている。感覚的なものとはそもそも身体と世界との無媒介な融合であり、そこでは基本的に触覚が感覚の基本的なものとしてとらえられている。聴覚はその不透明さからより触覚に近いものであり、視覚はその透明さからより触覚から遠いものである。
石田の詩に見られた感覚的なものへの遡及は、
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