判らないものがおまえを生かしている/ホロウ・シカエルボク
 
このまま死ぬのではないかと考えた―ある意味でおまえは、毎晩のように死んでいたのだ、毎晩のようにその恐怖に慄いていたのだ、何故だ?まだ死ぬこともないのに、何故だ?薄暗い小さな寝床の中で、蠢く影の中に何を見ていたのだろう―?そうしてあの頃と同じように目を見開いていると、おまえはなかなか寝返りをうつことが出来ない、目をそらすと殺されるかもしれないとどこかで感じているのかもしれない、もちろん本気でそんなものに怯えているとしたら、とんだ笑いものだろう、だがそれはまるで在り得ないということではない、運命というのはいわば慈悲深い殺害者だ、あいつらはいつでもおれたちを殺すことが出来る、もしかおまえはそいつらがやっ
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