金井雄二詩集『朝起きてぼくは』について/葉leaf
 
で判断を停止しない。そのかわり疑念を停止する。この言葉は言葉通りの意味を持つ。この世界に謎など存在しない。私たちは、通常「詩」を読むときに抱く様々な疑念を抱かなくて済むので、疑うことを停止してしまう。つまり、私たちは金井の詩を「信頼」するのである。
 だが、実は「生活」の世界ほど豊饒で奥深く謎めいている世界もまた存在しないのである。なるほど、私たちは「生活」の世界の中で様々なツールを共有することができるかもしれない。それでも、言葉などのツールを用いて拾い上げていく内容は実に幅が広いし、その解釈も一様には定まらない。私たちは同じ「生活」の世界に居ながらも、実に異なった体験をするし、実に違ったものの
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