オリンピック前夜/初谷むい
 

オリンピック前日譚の日々にいて夏の電話は手汗がひどい


いきるために踊ったりしている人がラジオで話すとりあえずくしゃみを我慢する


地下鉄の出口にあつまる虫の写メあなたに送れば日記になるし


オリンピックを見ずに終わる夏なのだろう爪がはげたら爪を塗る日々


届かない手紙届かないおれの夏 似顔絵なんども書いたけど下手!


夏は進む 毎日アイス食べるため替えてもらったごみ箱のふくろ


あなたはまるく眠りときどき転がるよ さようならオリンピック前夜





{引用=あなたに会えなくなって、それから夏が加速していくことが少しだけこわい
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