嗜好は変化しない/ホロウ・シカエルボク
裏側で散乱している兵士の死体のような埃が咽喉の内側を突き何度も乾いた咳をする、そんな咳を続けているといつか、なにもかもを取り違えて生まれてきたオオトカゲであるかのような錯覚にとらわれて舌を伸ばしてみる、なにかを捕らえられるほど長く伸びたりはしない、また、粘度の高い唾液もそこに付着してはいない、いいかい、気の迷いだ、もうそれ以上そのことを気にすることはない、取るに足らない錯覚だ、なによりこの検証そのものが人間じみて理屈っぽい、そんな風に結論を求めるオオトカゲなど存在しない、もっともオオトカゲのようなものの考え方をする人間は腐るほど居るけれども、どちらにしてもお前に関係のあることじゃない、思考の隅へ追
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