続・銀の雨/kaz.
子は、明らかに口を縛っていない袋の形状をなしている(ぶつ切りにした輪ゴムのように世界は広がる)。まだ私の身体の中にも物理学が残っていたのだ。微粒子の動きが波紋を作り、木々がそれを反射しつつ音を伝える(私の耳の中にしか世界はない、すべての音が私の中にある)。正確に彼らを定位する音の群れ。待伏せが銃を構える。前方に微粒子が出現(人)。待伏せを避けて、微粒子の網を潜る方向へ。右という名だったか、左だったかは、とうに忘れた。微粒子のパターンから逃れるのに、できるだけ猿のいる方に向かう。猿は近づくとざわざわと怪しげに動き、兵士たちの気を紛らすのに一役買ってくれる。最後に、木の上から手榴弾を遠方に投げ、爆発を
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