死活/飯沼ふるい
が脈打っている。
どくどく、どくどくと。
死ぬのはいつだって僕ではない。ざらついたライターの歯車を親指でこすりつづけていたら火がつかなくなってしまった。
二週間洗っていない寝間着には煙草の脂と寝汗がたっぷりと染みているはずだが、それすらももうわからないほどに身体と馴染んでしまっている。その身なりのままサンダルに足を突っ掛け、99年式のパジェロミニに乗り込んだ。
※
入道雲が膨れ上がっている
そのしたでくすぶる初夏
空の密度は息苦しい
(ガラスを幾重にも重ねたように
(透明だが、透き通ってもいない
背中に、
背中に、舌
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