死活/
飯沼ふるい
、舌を這わせた
脊椎の窪みへ舌をぴたりと合わせ
丹念に
丹念に
舐めた
「きみ」の身体から滲んだ皮脂は
とにかく苦かった
執拗に吸われた「きみ」の肌には
紅い斑点が浮かんだ
僕の舌が舐めた跡は
蛞蝓の這いずった道筋のように光っていた
どんなに「きみ」を汚しても
「きみ」は微笑むだけで
僕を許した
夏の陽射しに顔をしかめながら
腐りかけの桃を握る
いつかの祖父
枯れ節のような指に
濁った果汁が媚びるように絡んで汚かった
牡丹雪は
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