きみに寄せる詩群/山中 烏流
 
じわるな喋り方で
きみのくちびるが尖る瞬間や
わたしの
目や耳を塞いで
きみに気付かなくしてしまうのが好き

そうして
きみが真面目な顔をする頃に
すっ、と隠れてしまうのだ




3.

その姿は信仰によく似ている

わたしの耳を滑り
上下する胸の奥にひっそりと根付いて

遠く
いつか、呼吸の波が去る頃
組まれた指から
芽吹いては枯れるような

わたしたちの



わたしの優しさは
わたしのためにある

ただ黙って話を聞くこと
船を漕ぐ頭を撫でること
蹴り剥がした毛布を掛け直すこと

たくさんの
きみに向けた優しさは

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