玉川上水/高橋良幸
 
進めば
後ろからも似たようなさざめきが聞こえてくるのだ



 ず ざ

    ざ ざ ざ

あまりのさざめきの大きさにおどろき
振り返る
平坦な道があった場所には
落ち葉の壁が積み上がり
(これは壁というよりも、坂だろうか)
さらにその奥までも埋もれているのが見えた
見通しが良いばかりに一年分以上の
落ち葉が重なって見えたのかもしれない
いったい何年分の厚みだろうか
遠く見えなくなるあたりでその壁(あるいは坂)は
梢まで迫ろうとしていた
低空をゆく太陽を
捉えられそうなその高さまで

梢の高さに思う
振り返ればこの木々はそれだけ低く、若かった
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