虚構の庭/管城春
白い花が散る。白い花が散る。
星は死ぬときに歌を歌う。あなたの知らないやり方で。その
歌を回収しては売って回る老婆のことを知っている。わたし
が血液を売って得たその歌はまだ歌われていない。ピアノの
音が鳴るときは誰も口をきいてはいけない。約束された音楽
以外は誰も眠ってはならない。秩序はずっと支えてきたその
線のことだ。無数の腕がしがみついて、通れない道を繰り返
す。死体の山ができれば川は埋まりいずれ深い川を渡る。川
一面に黒い服が浮かんでいる。わたしは行列ではない。それ
でもまだ歌は歌われない。言葉を得た少年は告白のために唇
を引き結ん
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