守衛/葉leaf
 
ったが、正門の守衛は、ことごとく私の委任状を偽物だとして退けた。委任状の入っている筒についている房が違うらしい。ところがこの房こそが本物の証なのだ。私は本物である旨主張したが、本物か偽物かを判断する権限は守衛にあるので仕方がない。
私は話にならないと思い、この国の役人の知り合いに話を通そうと思った。私は守衛に知り合いの名を告げると、そんな者はいないとの返答だった。だがその知り合いは確かにいるし、つい先日も文を交わしたばかりだったのだ。私はその知り合いの容姿や性格など細かく伝えたのだが、守衛はせせら笑いながら、そんな者はいないの一点張りであった。だが役人が城の中にいるかどうか決める権限は守衛にある
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