共通する無題詩/山人
 
みつき、それを静かに抱きしめるように歯は咀嚼していく。
麺は、果てては胃腑に眠るように落ちてゆく。
気がつくと、どんぶりの中の麺はいなくなり、脱ぎすてられた衣服のようにモヤシと挽肉が漂っている。
蓮華で一口ずつ口に運ぶ。
やがてピンが外れたかのように、大口を開けてどんぶりに唇を寄せ、無造作な所作でつくられた愛を胃腑に注ぎ込んだ。

その日、食欲は無かった。
美味いラーメン屋は多々あり、タレントのような笑顔で接する、かなしい接客から作り出された食い物の顔を見たくなかった。
何杯ものラーメンをつくるために淡々と作業を行う店主は、すでにモヤシ状に細まり、まるでそれらは店主の血管ですらあっ
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