チューしてあげる/島中 充
や友達たちがぼくをどのように好いているか。嫌っているのか。気になって仕方なくなった。わがままな事をしていてはだめだ。みんながのぞむようなよい振る舞いをしなければならない。みんなに好かれたい。好かれたいと思うようになってきた。ひとりぼっちにならないためにみんなに好かれる振る舞いをしなくちゃいけない。言い付けられるような、嫌われるようなことをしてはいけない。たとえ本当の自分でない嘘の演技でもそうしないといけない。みんなはいつもぼくを見ているのだ。ぼくはいつも見られているのだ。言い付けられるようなことをしては絶対にだめなのだと思うようになってきた。
ケイコはこの事でさいわい先生に言い付けることはなかっ
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