チューしてあげる/島中 充
 
る白いパンツに向かっておもいっきり投げつけた。いつもは犬や猫に向かって投げても当たったことのない石が見事におしりに当たった。
「いたっ、痛いやないか、先生に言い付けてやるから」とケイコは言った。その言葉で、しまったとぼくは思った。なんで当たってしまったのだろうと思いながら家に走って帰った。先生に言い付けてやる。この言葉をその頃ぼくは一番気にしていたのである。四年生までは自己中心的で、確かに我がままだった。ぼくはよく先生に言い付けられていた。委員長のくせにと叱られていた。それでも平気だった。気にならなかった。

ぼくを可愛がってくれたお祖母さんが亡くなったのは二か月前のことだ。菊に埋もれた青白
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