チューしてあげる/島中 充
 
は、ケイコに敗けているのを、自分でも気付いていて、単に勉強や体育ができたという虚勢でしかなかったような気がしてきた。虚勢で演技していた。今演技しているように。ケイコがいるだけで、ぼくはコロコロ転がっている石ころのようだった。ケイコにけられる石けりの石、そんな気がして、ぼくは自分が悲しくなった。ケイコに足げにされて、ころころとぼくは転がっていく、そして、真っ黒に口を開いているマンホールにポトリとれき岩が落ちた。  ---ケイコごめんなさい。---と思った。不覚にも、ぼくは涙を一粒、机の上に落としたのだ。ケイコに気づかれまいと、あわてて親指で涙の粒をこすると、どっと涙が両目からあふれそうになり、いっき
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