チューしてあげる/島中 充
年生の教室は、五年生がすることになっている。丁度その日、インフルエンザが猛威を振るい、同じ班の三人が休んだ。残り三人で掃除をやらなくてはいけなかった。水は冷たい、だが掃除はちゃんとやらなくてはならない。
「今日、一年の掃除当番は三班。」と、言い残して、さっさとストーブを燃やした暖かい職員室に引き上げて仕舞っている先生に、
「掃除できました」と、班長は報告し、検査をうけなければならなかった。ぼくは、今まで、まじめに掃除などやらなかった。机を運ぶことや、バケツの水汲みなどはした。あるいは、掃除をしている素振りはしたが、一生懸命、丁寧にやろうとは考えもしなかった。あんなものは、オンナにさせておけばよ
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