チューしてあげる/島中 充
にあだ名を付けたのである。
3
二学期の初め、理科の時間、岩石について授業があった。砂岩、玄武岩、大理石などのこぶし大の標本が教室内に回された。その岩石のできかたと特徴についての先生の話があった。その中のひとつにれき岩と言うのがあった。その石がぼくの班に回ってきたとき、右手にそれを高くかざして
「うわー、班長みたい」と、ケイコが静かだった教室に時の声をあげた。れき岩とは、砂の中に、ごつごつ尖った岩のかけらが混じって固まった、いかにもぶさいくなやつだ。クラスのみんなは爆笑した。先生も涙を浮かべて、笑いながら、人差し指で、涙をぬぐった。これを見てぼくはひどく腹が立った。色黒
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