チューしてあげる/島中 充
 
るので仕方がないと思われて、選ばれていたのだ。ぼくはクラスのみんなにぼくがリーダーであること、尊敬と、好いてくれることを期待した。期待すればするほど、みんなから嫌われているようだった。その上、内心ではケイコのような人気が欲しくて、欲しくて、仕方がなかった。好かれたかった。何をやらせてもだめなくせに、鼻をずるっと鳴らせて、にたっと笑えば、誰からも許されたケイコ。そしてなによりもケイコはリーダーであり、野球で、サードで、四番を打つぼくをちっとも尊敬しなかった。ぼくはケイコにひどく腹を立てていた。机から消しゴムが転がっても、隣の席のケイコが机を揺らしたせいだと怒った。こともあろうに、そのケイコがぼくにあ
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