チューしてあげる/島中 充
いたが、たいへん好いていた。クラスで一番の人気ものであった。クラスで一番好かれていた。
しかし、ぼくはそんなケイコに複雑な思いがあった。ケイコの好かれる理由をぼくはあほのお人好しだから、みんなも安心して付き合えるのだと思っていた。馬鹿にされても、にやっと笑っているケイコが一番我慢ならなかった。なぜなら、ぼくはケイコのように、みんなに好かれなかったからだ。誰よりも一番好かれたいと思っていたのに。好かれるように頑張って演技していたのに。なんだか演技すればするほどみんなから嫌われているような気がしていた。投票で、いつも委員長に選ばれてはいたが、それは白々しさをたぶんに含んでいた。勉強と体育が出来るの
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