チューしてあげる/島中 充
 
してきた。班長であり、学級委員でもあるぼくは、その競争に勝ちたくて仕方がなかった。丁度その頃、ぼくはリーダーと言う英語を先生から初めて教えてもらい、あなたはリーダーですからと言われ、その言葉がひどく気に入っていた。そうだぼくはリーダーなのだと思った。立派なリーダーに成りたかった。ケイコの勉強の面倒をみて、成績を上げるのがリーダーの務めである。そのための班ごとの競争であり、競争に勝って、良いリーダーとして、先生にほめてもらいたかった。みんなに認められたかった。ぼくもまた競争するのが大好きな子供でもあった。しかし、鶴亀算や、植木算ならまだしも、ケイコは九九を時々間違えた。おまけに一向、正確におぼえよう
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