譫言/kaz.
 
先ほど、あの天井にあった扉から入ってきたのですよ。
「あれは扉ではありません。天窓です。」
じゃあ、あの水没しているのは、もしかして…
「扉です。あのフックのところに、靴をかけるのです。」

なるほど、

見落としていたが、
窓だと思っていた
その丸い円盤の右隣にはフックがあって、
彼女の白い紐の靴が引っかかっている。
そこでようやく僕の疑問は消えうせた。
その代わり、
僕の靴がそこに引っかかって、
ひたひたと、
夜通し湿気が滴り続けた。


―ハイホー、ハイホー、死神が鳴く、
さっき狩ってきた虎の頭を、
撫でるように優しく取り出して、
傀儡政権を作ってみ
[次のページ]
戻る   Point(4)