白鳥央堂詩集『晴れる空よりもうつくしいもの』について/葉leaf
 
思われがちだが、歴史における真理が勝者により簡単に調整されてしまうこと、実践における正義が臨機応変な議論により調整されること、美のとらえ方が各個人様々であり共同体での調整なくしては権威づけが難しいこと、などを考えると、これらの価値もまた社会におけるコミュニケーションを通じた合意があって初めて生成されることが分かるだろう。
 さて、では詩はどのようなコミュニケーションを行っているのか。白鳥央堂の『晴れる空よりうつくしいもの』(思潮社)を俎上に上げることで検討したいと思う。

破氷の陸を 形成する
一面の吐瀉 まっとうな
妹の うつくしき遅延
大河が押し寄せるなら
真っ先に逃げ出すだろう
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