詩人サークル「群青」4月の題詠「土」/木原東子
 
「春の土」
よりそひて小川とあぜ道蛇行せる二月の畠に耕人ひとり 

音なくて雨降りゐたり 静かにも春を見上げて庭辺の千草

うんうんと地よりわきたつ緑児を雨とお日さま交互にあやす

一坪の土の中より生れ止まず命の光を注がれ止まず

くろぐろとかぐはしき畠 目も舌も耕すも幸あした豊穣

三角地に可愛く畝の立ててあり葱の出づるやひとり居なるや

我が煮炊きおざなりなれど愛づるもの地より生れたるなべての緑

やはらかき雨の夜明けて春の陽よ畠も鳥もそはそはとせり

お馴染みの庭のものたち顔出すも後生の花の玉芽見えざる ==ハイビスカス

猛き草の刈り取られたる更地より
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