やわらくて、むちゃくちゃにかなしい、ぼうりょくてきな、ミュージアム/竜門勇気
 
届かなかった気持ち博物館
薄暗い廊下を歩いたつきあたり
そこだけ妙に明るい受付で
2、3質問を受ける
ポケットの中の黒くて悲しい物を渡したら
重そうでやけに軽いドアを開けて
誰もいないリビングルームで
くつろぎながら絶望と手をつなぐ

額の代わりに
錆びたアルミサッシに囲まれた絵を見る
あの日見た夢を思いながら
昨日流した涙を見る
まるで
まるで
まるで思い出したみたいな顔をして

彫刻は面影で出来ていて
面影を僕は持ちあわせていない
形のあるものを探してきたけど
自分だけの幸せを探してきたけど
それが本当に欲しかったものだったなんて
おもえもしないし誇
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